💎大人のためのメンズロマンス

映画「トム・アット・ザ・ファーム」恐怖の後に押し寄せる切なさ

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな13作品はこちら)

今回はBLをテーマにしたカナダのサイコ・スリラー映画「トム・アット・ザ・ファーム(原題:Tom à la ferme)」を取り上げます。

作品メモ

評価 :4/5。

評 価:4(4.5以上はこちら
設 定:主従・元カレの兄
トーン:サスペンス・サイコスリラー・バイオレンス・切ない
恐怖度:90%
攻 め:俺様/筋肉/執着/ノンケ
受 け:健気/執着

※あくまでも個人の主観です

まだ見たことがない方もいらっしゃると思うので、初見の方がこの記事を読んだ後も作品を楽しんでいただけるように詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、3割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

映画「トム・アット・ザ・ファームとは

「トム・アット・ザ・ファーム(原題:Tom à la ferme)」は、俳優でありながら監督としても活躍するグザヴィエ・ドランが監督・主演をつとめるメンズロマンスがテーマのサイコスリラー映画です。

グザヴィエ・ドランといえば2019年に公開された新作映画「マティアス&マキシム(原題:Matthias & Maxime)」が大きな話題となりましたが、本作は2013年のベネチア国際映画祭でコンペティション部門にノミネートされ、当時の国際批評家連盟賞に選ばれ各国の批評家から「ドランの最高傑作」として高く評価されました。

モントリオールの広告代理店で働くトムは、交通事故で死んだ恋人の恋人の男性ギョームが亡くなり悲しみに暮れるトムは、葬儀に出席するためギョームの故郷を訪れる。
しかし、ギョームの母はトムの存在を知らず、息子の恋人はサラという女性だと思っている。
トムの存在を唯一知るギョームの兄フランシスは、トムに恋人であることを隠すよう強要。
当初は反発を覚えたトムだったが、次第にフランシスの中に亡きギョームの姿を重ねるようになり……。

映画.comより

少しずつ明らかになっていく隠された過去…
恋人を救えなかった罪悪感と理不尽な暴力…
亡くなった恋人の兄とのなんとも危ういバランスで保たれる微妙な関係…
人里はなれた田舎の閉塞的な地で静かに狂っていく日常…

サイコ・サスペンス×メンズロマンス

恋人の兄とのゆがんだ関係

トム(演:グザヴィエ・ドラン)

広告代理店で働くトムは、交通事故で急死した同僚で恋人のギョームの葬儀に出席するために、ギョームの実家である農場に向かう。
突然恋人をなくした喪失感と、彼を救うことができなかった自分に対する罪悪感にさいなまれているトム。

葬儀に参列したことをきっかけに、なぜかギョームの兄であるフランシスとのゆがんだ関係が始まる。

監督兼主演のグザヴィエ・ドランはねぇ…
とにかく顔がいいわ、演技ももちろん実力ありすぎるわで…
あなたこれ当時20代で全部やってんのかよ、天才かよと思いながら見てしまいます。

ほんと化け物だなドランよ

フランシス(演:ピエール=イヴ・カルディナル)

トムの恋人であるギョームの兄。
弟(ギョーム)がゲイであることを知りながら、母親を悲しませないために頑なに隠し続けている。
葬儀に訪れたトムに対し、母親の前では恋人ではなく「友人」のふりをするように脅す。

言葉よりも手が先に出る激高型の兄ちゃんでね。
なんでも力でねじ伏せようとするダメな男なんだけど、実は繊細で超依存体質なんです。

演じるピエール=イヴ・カルディナルさんはカナダで活躍する俳優さんでしたが、今回の作品で監督兼主演を務めるドランのラブコールで初めて主演に抜擢され、フランスのヴァランシエンヌ映画祭の最優秀主演男優賞を受賞しました。

メンズロマンス作品において、髭で筋肉で俺様で嫉妬深いノンケ設定の男がどストライクの私にとってはもう、たまんないキャラクターでした…(頭抱える

フランシス…好き。

きっかけは恋人の葬儀から始まる…そんな変わったストーリーで、最初から一瞬で作品に惹き込まれてしまいます。

狂気で染まったふたりの愛

出会った日に、突然トムをトイレに押し込んで個室に入り鍵をかけて「お母さんの前で弟に彼女がいたと嘘をつけ」と脅すフランシス。

個室で二人っきり…

待ってなにこのシチュエーション

フランシスの脅しに屈しない姿勢を見せつつも、ギョームの死で悲しむ彼の母親を前に、トムはフランシスの指示どおり嘘をつくことにするんです。

「ギョームにはサラという彼女がいて…彼女は彼のことを深く愛していた」
まぎれもなく自分こそがギョームの恋人であるにも関わらず、トムは感情を押し殺して嘘をつくんですよね…ここ切ない。

フランシスは、亡き弟の恋人・トムに対して常に高圧的で暴力的な態度をとるんですよね。

ふたりでお酒を飲んだ後、フランシスは生意気なことをいうトムに怒り、彼の首を絞めるシーンがあるんですが…
そんなフランシスに対して「もっと強く…絞めて…」と懇願するトムがね…めちゃ色っぽ切なくてね…

待ってなんのプレイなのこれ

こうしてふたりの距離感がどんどんバグっていくんですよね…

葬儀の参列のためだけにギョームの実家を訪れたトムでしたが、ほんとにまぁいろいろあって「おまえはここにいろ」っていうフランシスの言葉通り、なぜか牧場に残ることを選択することなるんですよ。

牧場の仕事をしながら、その合間に小屋の中でふたりで踊るシーンがね…とっても素敵なんです。

互いに喪失感をかかえたまま、こころにぽっかり空いた穴をうめようと必死で。
亡き男の恋人と、亡き男の兄、そんなふたりの複雑な感情が実に繊細に描かれています。

一瞬たりとも目を離せない展開

とはいえこれはほのぼのラブストーリーではなく、サイコ・スリラー作品なんです。

最初から最後まで、休む暇なく常に「恐怖」が寄り添ってきます。

お化けとか、エイリアンとかそういう恐怖ではなく、人間の奥底に潜む「狂気」に対する恐怖(これが一番怖い)。

そのなんともいえないぼんやりとした、ただ確実にそこにある「恐怖」が演者の表情やカメラワーク、音楽、台詞、あらゆる演出を総動員して描かれています。

しっかりこわい。

ものすごい余韻

肝心のシーンを描かない手法がとられている本作は、要所要所が見る側の想像によって補われることで成立しています。

一から十まで説明してくれない。
そこにないものを想像するからこそ、怖いし、切ないし、鑑賞後の余韻がすごい。

ラストシーン、トムが車のハンドルを強く握りしめるシーンがあるんですが、
これをどうとらえるのか、最後の解釈も見る側にゆだねられているんです。
これ見たもう私は思わず「ぎゃあああああああ」と叫んでしまいました。

そしてまた最初から作品を見返すと、不可解だったシーンに込められた意味を感じてまた「ぎゃあああああああああ」と叫ぶことになるんです。

鑑賞後思わず叫んでしまう系メンズロマンス

とくにここ。序盤の葬儀のシーン。
もちろんまだ見ていない人にはなんのこっちゃなこのシーン。

ここのフランシスの手の動きがクローズアップされていて、こういう何気ないシーンがね、1回目見た時は何も感じなかったんですが、2回目はズシンと胸に迫るものがありました。

とにかく見てくれ
この余韻を共有したいよ…

映画「トム・アット・ザ・ファーム」

映画「トム・アット・ザ・ファーム」は、残念ながら現在どの配信サービスからも配信されていません。視聴するにはDVDをレンタルするしかなさそうです。

▷ TSUTAYA DISCASで「トム・アット・ザ・ファーム」をレンタルする
※30日間無料キャンペーン中なのでぜひ利用してみてください。

ドラン作品がもっと見たい

冒頭でご紹介したグザヴィエ・ドラン主演&監督&脚本のメンズロマンス映画「マティアス&マキシム」もお勧めです。
こちらもすさまじい余韻。

▷ カナダ映画「マティアス&マキシム」胸を締め付ける余韻がすごい

他にもドランが制作を手掛けた作品から、俳優としてのみ登場している作品など多数。

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ドラン関連作品はamazonプライムビデオで配信・有料レンタル/販売されているので気になる方はぜひご覧ください。

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