18禁アルゼンチン映画「Hawaii」作家と使用人の静かな攻防戦｜配信で視聴可能

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな13作品はこちら)

今回はアルゼンチン映画「Hawaii」を取り上げます。

まだ見たことがない方のために詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、3割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

映画「Hawaii」とは

https://www.youtube.com/watch?v=DU0qmw2Ct0o

映画「Hawaii」は、2013年に公開されたアルゼンチンの作品です。

アルゼンチンの暑い夏、訳あって仕事を探していたマーティンは作家のエウジェニオの家で夏の間の使用人として仕事をもらうことに。
幼少期を共に過ごした幼馴染であることを思い出したエウジェニオは、彼に夏の間の家の修理や庭仕事と寝床を提供する。
その瞬間から置かれた立場と胸に秘めた欲望のゲームが始まり、2人の関係は友情を超えていく…

IMDb「Hawaii」あらすじからricoのざっくり意訳

暑い夏にアルゼンチンの田舎で再会した二人の物語です。

本作は男同士のラブロマンス映画「Taekwondo」や「The Blond One」を手掛けた脚本家・監督のマルコ・ベルへールがメガホンを取りました。

同じ監督が手がけているので他の作品ももちろんおすすめです。

アルゼンチンのゲイロマンスが熱い

作家と使用人 立場の違うふたり

マーティン（演：Mateo Chiarino）

両親がいない孤児。
育ててくれた祖母が亡くなったことでかつての故郷に戻ってきた。

お金を稼ぐために幼馴染で作家のエウジェニオから日雇いで家の修理や庭仕事の仕事をもらうことに。

エウジェニオ（演：Manuel Vignau）

広大な土地と家にひとりで住む作家。
突然現れた幼馴染マーティンと再会を果たす。
マーティンの苦しい状況を知ったエウジェニオは、夏の間自分の家で寝泊まりするよう彼を説得する。

かつての幼馴染マーティンとの再会をきっかけに、過去の自分の気持ちを少しずつ整理していく。

雇い主と使用人という立場の違う男ふたりを描いたこの作品は、アルゼンチンでゲイ版の「高慢と偏見」（ジェイン・オースティン著）だと評されるほどです。

理性的なおとなの男たち…たまらん

ゆったりした贅沢な時間

この作品の一番の魅力はその贅沢な時間の使い方なんだと思います。
豊かな自然に囲まれた大きな家での二人で過ごすゆったりとした時間を、豪華なカメラワークでたっぷり見せてくれます。

男同士服を脱いで、湖に飛び込み童心にかえって無邪気に泳ぐシーンってメンズロマンスモノにはよくありますよね。

個人的に大好きなんですよね、いろんなしがらみから解放されて、こやって大自然の中でふたりきり自然児にかえっての過ごす時間が…！

演者さんたちも心から楽しんでいるようなそんな表情がとっても好きです。

立場の違いを忘れて、ともに過ごした幼い頃を思い出し語り合う、そんな尊いシーンが度々出てきます。

その時のふたりの表情は子どものようで、その瞬間だけは自分が置かれている状況や互いに抱えている悩みを忘れられるんですよね。

台詞は最小限。
とにかくこの余白がとっても贅沢。

お約束の焦らし描写

この作品の見どころは、やっぱりベルヘール監督の十八番ともいえるこの「焦らし描写」だと思うんです。

監督の他の作品でも同様に、目の前にエサを置かれたまま「おすわり」「待て」といわれている状態の犬のような状態でずっとおあずけを食らうんですよ私たちは。

次々と投下される匂わせシーンを見ながらひたすら「その時」を待ちながら、ハァハァしながらよだれをだらだら垂らすしかないという。

性的な意図をもちつつも、確信には迫らないため見る側がひたすら期待と妄想を繰り広げちゃうような、そういう描写自体がもう最強のエロスのだと思っているのでこの手の演出には非常に弱いです（大好き）

よっぱらってそのまま一緒のベッドでうたた寝してしまうシーンとかね。
「おい…新しい酒持ってきたぞ…」っていいながら寝ているマーティンを起こそうとするエウジェニオの手の動きとかね。

諦めてそのまま隣でねてしまうときの”体制”とかね。

すりガラス越しのシャワーシーンとかね。
下着をプレゼントして「男同士なんだから気にすんなよ」ってその場で着替えさせたりね。
着替える時の明らかに意図的なアングルとかね。

極めつけには足の付け根怪我しちゃったマーティンの傷を手当するシーンとかね。
じれったいふたりの関係に、ずっとじらされてた私は思わず叫びましたよ。

おい！怪我の場所！おま！
よくやった！でかしたぞ！

ふたりの間の静かな攻防戦

特に注目したいのは、ゆったり流れる時間の裏で行われるふたりの静かな攻防戦です。
作品は終始自然の中でのんびり過ごすふたりが描かれていますが、ふたりの気持はずっとざわざわしてるんですよね。

優雅に泳いでいるように見えても水面下では足をばたつかせている白鳥のように、ふたりの間ではそれはもう激しい欲望のゲームが繰り広げられているんです。

ふたりのふとした表情や視線の動きで視聴者は徐々に緊張感に包まれていき、やがてふたりの探り合いバトルの渦に飲み込まれていきます。

相手のことが少しずつ気になり始めて、そして次第にそれが友情以上だと気付いたとき、次はもう、相手に触れたい…キスしたい…という欲望との戦いになる。

でもそれを相手に求めた時点で今の関係が終わってしまうのではないか、今の自分の置かれた立場上、相手にそれを求めてしまうことはできない、そもそも相手がそれを受け入れてくれる「確証」が持てない。

立場の違う大人の男がふたり
果たしてどうなる…！

映画「Hawaii」は配信で視聴可能

映画 「Hawaii」 は、残念ながら日本の動画配信サービスでは配信されていません。
日本語字幕もないため、英語でもいいよという方はVPNを使ってアメリカ版amazonプライムビデオで視聴可能です。

▷　アメリカ版amazonプライムビデオで見る

※要VPNです。約$4で3日間のレンタル・約$8で購入が可能です（2021年10月現在）

ベルへール監督作品はハズレなし

ゆったりした描写と、少ないセリフ、じれったくてどきどきする作品が得意なアルゼンチンのベルヘール監督。

こういった作風がお好きな方はぜひ他のベルへール作品も見てみて欲しいです。
どれもたまらなくじらされますが、美しくて、切なくて、甘くて個人的には大好きです。

本ページの情報は2024年7月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。