18禁映画「In the Grayscale」白でも黒でもない曖昧な世界｜配信で無料視聴可能

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな11作品はこちら)

今回はチリ映画「In the Grayscale（原題：En la Gama de los Grises）」を取り上げます。

まだ見たことがない方のために詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、3割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

その人がゲイなのか、ストレートなのかっていう性的趣向は、しばしば「そっち」とか「こっち側」なんていう表現でそれぞれの立場から白黒つけて分けられがちですよね。
でもこの作品はタイトル通り「グレースケール」、白でも黒でもない、その2色の間のグラデーション部分を描いています。
「In the Grayscale」は、妻子がありながらも自分のセクシャリティが何なのかについて自分ともう一度向き合おうとする主人公ブルーノのお話です。

映画「In the Grayscale」とは

映画「In the Grayscale（原題：En la Gama de los Grises）」は2015年に公開されたチリの映画です。

順風満帆の人生を歩んできた建築家のブルーノは、街のシンボルとなるモニュメントの建設を依頼されたことをきっかけにゲイの歴史教師フェルに街の歴史を学びます。
フェルとの出会いをきっかけに思いがけない激しいロマンスが芽生え始める…

GagaOOLaLaよりricoのざっくり意訳

妻子持ちのブルーノと、ゲイをオープンにしている教師のラブロマンスです。
繰り返します、妻子持ちです。

※妻子持ちです

建築家と歴史教師

ブルーノ（演：Francisco Celhay）

妻と子どもがいる建築家。
チリの街サンティアゴのモニュメント建設を任される。
歴史教師のフェルに依頼し、街の歴史をめぐりながら作品のアイデアを練る。

フェル（演：Emilio Edwards）

ゲイをオープンにしている歴史教師。
街の歴史的建築物に詳しいため建築家のブルーノに街のガイドを依頼される。

自分を見つめ直す主人公

主人公のブルーノはそれまで順風満帆の生活を送っていたものの、自分のセクシャリティに疑問をもち、自分と向き合おうと突然家族を置いて家を出てしまいます。
家族と離れひとりになって、じっくり考える時間をもとうとするんです。

そんな彼に舞い込んだ一大プロジェクト、街のモニュメントの建築のため、歴史教師のフェルに依頼し歴史的な建築物について学びながら、作品のインスピレーションを得ることになります。

自転車で街を走りながら、史跡や建物巡りを楽しむふたりは、徐々に距離を縮め、次第に互いに興味を持つようになるんですね。

この作品はゆったりした時のながれの中で、静かにくすぶる情熱が巧みに描かれています。
同じような作風で私の大好きな監督マルコ・ベルヘールの作品が好きな方には特におすすめです。

少しずつ惹かれ合うふたり

クリエイターと教師で職業も全然ちがう、歳も離れていて、家庭環境も違う、そしてなによりもフェルはゲイで自分はストレート。
好きな映画も正反対で全く共通点がないのに、なぜか惹かれ合うふたり。

ある日、フェルはブルーノにキスを仕掛けます。
ブルーノは驚いて拒絶します。

翌日の夜、フェルから電話がかかってきます。
「今からうちこない？」という電話に、ブルーノは答えて家まで向かいます。

フェル　「…で、なんで来たの」
ブルーノ「この前のキスのことハッキリさせたくて」
フェル　「大したことないよ、ただ君がストレートなんだってわかっただけさ」

このことをきっかけにブルーノはフェルのことばかり考えてしまうんです。

自分はゲイじゃないのに、ふたりの間には友人以上の「何か」が芽生えているんです。
でもそれが「何」なのか、自分が一体どうしたいのか、ブルーノにはわからず戸惑います。

ブルーノ「僕たちってまだ可能性あるのかな」
フェル　「（困った顔で）君みたいな人がゲイだったら白黒はっきりしてて簡単なんだけどね…でもそうじゃないなら、可能性はないよ、仕方ないさ。こっちが辛いだけだもん」

フェルの答えに、ブルーノは自分のもやもやした気持ちをぶつけます。

ブルーノ「よくわからないけど、でも、君と付き合ってみたいんだ」
フェル　「は？何言ってんの？」
ブルーノ「なんていうか、すごく安っぽいけど”君は僕を満たしてくれる”って思ってたんだ」
フェル　「何それ…安っぽすぎる（笑）」

ここすごく素敵なシーンなんです。
戸惑いながらも自分の気持をぶつけるブルーノの表情も、想いを伝えられたフェルの嬉しそうな表情も、互いに照れ笑いしながら見つめ合うシーンがとっても素敵なんです。

こっちまで照れる

情熱的なラブシーン

照れながら服を脱いで、キスをするふたり。
ここ、ブルーノががっついてるのが、なんていうかすごい、キマす。
ブルーノの手をジーンズ越しの自分自身にあてがって自分の興奮を伝えるフェルもいい。

この作品はモザイクなしでいろいろと映っているので、ご注意くださいね。
ベッドシーンもそのまま、ちょこちょこ見切れてます。
がっつり触ったり、揉みしだいたり（言い方）するんですがそういうのもガチなところ、すごいなチリ…って思いました。

つまり素晴らしい

白でも黒でもないグレースケール

でも幸せなひとときはずっとは続かないんですよね。
案の定、その後のふたりにはいろんな困難が待ち構えています。

あることでフェルを突き放し、傷つけてしまったブルーノはフェルに許しを請います。
もうこれ以上傷つきたくないと全力で逃げるフェル、必死で追うブルーノ。

お互い汗だくでへとへとになり、ようやく二人は向き合い、ブルーノから情熱的なキスをします。

ブルーノ「…時間がほしい」
フェル　「だめだ。こんなのは辛いの知ってるんだ、白か黒かだよ」
ブルーノ「無茶いうな…そんな大事なこと簡単に決められない」
フェル　「でも、いつかはどっちか選ばなきゃいけないんだ…選べよ…」

ゲイか、ストレートか、フェルとの人生を選ぶのか、選ばないのか、白か黒かはっきりすることを求めるフェル。

白でも黒でもないグレースケールに取り残されながらひとり苦しむブルーノ。
はたしてブルーノはどちらを選ぶのでしょうか。

白か黒か、是か非か、敵か味方か、なんでも極端に二極化する今の社会や、複雑で曖昧なものを怖がり、何でもラベリングやカテゴライズしたがる私たちに対して、ひとつの疑問を抱かせてくれる、そんな作品でした。

とにかく見て欲しい

映画「In the Grayscale」は配信で無料視聴可能

映画「In the Grayscaleは動画配信サービスLGBTQ作品に特化した動画配信サービス「GagaOOLaLa」で無料配信中です。
残念ながら日本語字幕に対応していない作品なので、英語字幕でもいいよという方向けです。

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(2022年8月現在）

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