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映画「裸足で鳴らしてみせろ」痛々しくて残酷なラブシーン|一部映画館で上映中

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな13作品はこちら)

今回は映画「裸足で鳴らしてみせろ(英題:Let Me Hear It Barefoot)」を取り上げます。

作品メモ

評価 :4/5。

評 価:4(4.5以上はこちら
設 定:青春・家族・バイオレンス・犯罪
トーン:切ない・爽やか

※あくまでも個人の主観です

まだ見たことがない方のために詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、3割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

映画「裸足で鳴らしてみせろ」とは

映画「裸足で鳴らしてみせろ」は、2022年8月に公開された青春映画です

「代わりに世界を見てきてほしい」という盲目の養母のために、レコーダーを手に“世界の音”を届けようとする二人の青年。
彼らは次第に惹かれ合うも、互いを抱きしめることができない。
言葉にならない想いは、他愛のないじゃれ合いから暴力的な格闘へとエスカレートしてゆく……。

公式サイトより

触れていたい、抱きしめたい、ずっとそばにいたい…
互いの想いが増す程、互いを傷つけてしまう矛盾だらけの関係なふたり。

分かり合い、共鳴し合っているのに、どうしても重なり合えないふたりの関係はまるで強力に反発し合うN極同士の磁石のようでした。

それでもまた引き寄せ合うふたりが痛々しくてもどかしくて苦しくて…
この感情、なんか懐かしいな、なんだったかな…と思ったら映画「ブエノスアイレス」を見た時に似た感情でした。

多分私の中では一生忘れられない作品になると思います。

ここに名作が誕生しました

魂でつながるふたり

https://www.hadashi-movie.com/

阿利 直己/あり なおみ(演:佐々木詩音)

父の不用品回収会社で働く青年。
プールで知り合った友人、槙の母親の願いを叶えるために不用品回収で手に入れたレコーダーを手に「世界の音」を求めて偽りの世界旅行へ出る。

槙と出会うことで表情がどんどん変わっていくんです。
徐々に感情が溢れていく変化も素敵。

https://www.hadashi-movie.com/

柳瀬 槙/やなせ まき(演:諏訪珠理)

市民プールでアルバイトをする青年。
盲目の養母・みどりの「私の代わりに世界を見てきてほしい」という願いを叶えるため、なおみと音を録音し始める。

槙の笑顔の破壊力よ。
いろんなものを背負ってるはずなのに、笑顔がとにかく無邪気なんだ。

残酷な現実を包むあたたかな虚構

https://asianmoviepulse.com/

傾きかけた不用品回収会社で父のために働く直己。
アルバイトをしながら盲目の母親を傍で支える槙。

家族の愛を感じながらも、どこにも行き場のない絶望のようなものを感じながら、閉鎖的な世界で生きています。

そんなふたりがプールで知り合い、「私の代わりに世界を見てきてほしい」という槙の母親のために偽りの世界旅行を始めます。

https://asianmoviepulse.com/

青の洞窟、サハラ砂漠、イグアスの滝、カナダの草原、アラスカのオーロラ…
青の洞窟は市民プールにゴムボートを浮かべて、サハラ砂漠は運動場の砂場で、アラスカの雪は小麦粉の上を歩いて、ニセモノの音で世界旅行を演出します。

あたかもそこに行ったかのような「音」を作ってはテープレコーダーに録音し、その音を病室の母親の元に届けます。

https://asianmoviepulse.com/

それらは全部ニセモノなのに、愛にあふれていてあったかいんです

現実の苦しさに押しつぶされそうになったときでも、この時間だけは思いっきり楽しんでいるふたりがいるんです。
その時間がすごく穏やかで、たまらないほど愛おしんです。

ずっと旅してて欲しいよ

“一緒では苦しすぎるが ひとりでは生きていけない”

https://asianmoviepulse.com/

偽りの旅行の音を録音する中で、次第にふたりは惹かれ合いどんどんと距離を縮めていきます。

やがて互いは互いに「触れたい」と思うようになります。
ただ、劇中で「すぐそこにあるのに、手を伸ばすと反発する」というセリフがあるように、ふたりはどうしても素直に触れることができません。

それでも触れたい、触れて欲しい、言葉にできないどうしようもない感情が、じゃれ合いのなかの小突き合いになり、プロレスのような取っ組み合いが始まります。
二人はそうすることでしか触れ合うことができないんです。

https://asianmoviepulse.com/

恋人同士が何気なく過ごす時間の中でふと手を繋いだり、キスをしたりするかのように、それはいつもちょっとした小突き合いを合図に始まります。
最初は笑いながら互いを羽交い絞めにしたり、技をかけたりだったのが、次第にどんどんとエスカレートしていきます。

ふたりの息は荒くなり、相手の身体にアザができるほど力も強くなっていきます。
今にも泣きそうな苦しい表情で、互いを痛めつけはじめ、最終的には殴り合いになってしまいます。

それはもう、痛々しくて残酷な「ラブシーン」なんですよね。

槙の顔をはたく直己。じっと動かない槙。
もう一度槙の顔をはたく直己。それでも動かない槙。
直己「ほら…やり返せよ」
槙 「‥‥できないよ」
直己「…触ってくれよ!
ねじれた愛情表現を繰り返してきたふたりが泣きながら叫ぶシーンは、もう、震えました。

フランソワ・トリュフォー監督の『隣の女』という映画に出会い、キャッチコピーにもなっているセリフ“一緒では苦しすぎるが、ひとりでは生きていけない”という言葉の、その矛盾に私は強く惹きつけられます。

本作の監督・脚本の工藤梨穂さん

まさに二人の関係は、工藤監督がいうように”一緒では苦しすぎるが ひとりでは生きていけない“んです。
互いに何者にも代えられない存在であることは明確で、頭でも身体でもわかっているはずなのに、それを受け入れることができなくて突き放してしまうんですね。
依存しているからこそ、それを自覚しているからこそ、傷つけてしまう…

こんなにつらいことってないよ

果たされなかった約束

https://asianmoviepulse.com/

破滅的なふたりの関係をみて、映画「ブエノスアイレス」が頭をよぎりました。

痛々しい程に不器用なふたりがいつか交わした約束の地「イグアスの滝」。
愛し合うが故に傷つけ合い、最終的にふたりの約束が果たされることはありませんでした。

仕事で稼いだお金で南米へ行き、そこで「代わりに悩みを捨ててきてあげる」と主人公にテープレコーダーを渡す男がいました。
そのレコーダーを手に、想いが溢れ泣き崩れるシーンがとても印象的でした。
月日が流れて彼は大切な人との思い出の地「イグアスの滝」へとひとりで旅立ちます。

槙と直己の約束の地はアリゾナの渓谷「アンテロープキャニオン」。
もしこの作品に続きがあるのなら、槙は直己はどうしていただろう、と思いながらエンドロールを眺めていました。


盲目の母の夢を叶えるために協力し合う感動映画と思いきや、それだけじゃないのがこの作品の魅力なんだと思うんです。
優しさの中に破滅的で刹那的なふたりの涙に泣いてしまったよ。

とにかく見てくれ

映画「裸足で鳴らしてみせろ」は8月6日より上映中

https://twitter.com/hadashi_movie

映画「裸足で鳴らしてみせろ」は、一部映画館で上映中です。

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まだまだ貴女におすすめしたい作品はたくさん!
もっと書きたい!この感情をぶつけたい!

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rico(30代)

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