💎大人のためのメンズロマンス

映画「僕の巡査」嫉妬渦巻くどろ沼展開の先に…涙が止まらないラストシーン|配信で無料視聴可能

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな13作品はこちら)

今回は映画「僕の巡査(原題:My Policeman)」を取り上げます。

作品メモ

評価 :5/5。

評 価:5(4.5以上はこちら
設 定:警察・浮気
トーン:切ない・甘い・社会派

大人度:70%
トム:警察/真面目/頑固
パトリック:学芸員/ほだされ/嫉妬
※あくまでも個人の主観です

まだ見たことがない方のために詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、3割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

映画「僕の巡査/My Policeman」とは

映画「僕の巡査(原題:My Policeman)」は、イギリスのベストセラー小説「My Policeman」を元に、イギリス・アメリカが合作した映画です。
本国では10月より一部劇場で先行公開、日本を含む世界で11月4日よりamazonプライムビデオにて同時配信されています。

1950年代のロンドン近郊の海辺の街、ブライトン。
主人公で警察官のトムは教師のマリオンと恋人関係にあり、順風満帆な生活を送っていた。
しかし、そんなトムには世間には言えない秘密があった。

SCREEN ONLINEより

ricoは原作未読ですが、同性愛が犯罪とされていた50年代という時代設定だけでどーんと重くのしかかるものがあります。

待ち遠しかった配信日、配信と同時に見ましたよ。
見終わった今、文字通り泣きながらこの記事を書いています。

とんでもない名作に出会ってしまった

巡査とキュレーターの秘めた恋

https://www.imdb.com

トム(演:ハリー・スタイルズ)

世間体を気にする正義感の強い警官。
事故をきっかけに美術館で働くパトリックと出会う。
マリオンとの結婚を決めながら、密かにパトリックと関係を持っている。

主人公の巡査トムを演じるのは「ダンケルク」や「エターナルズ」で俳優として活躍中の、イギリスのボーイズバンドOne Directionのハリー・スタイルズ。

皆さんご存知の才能お化け

https://www.imdb.com

パトリック(演:デヴィッド・ドーソン)

美術館で西洋画を担当するキュレーター。
海外や音楽を愛する芸術好き。
街の警察官のトムに出会い一目惚れする。

いつもは感情を表に出さずに淡々と芸術を語るクールな男。
でもトムの前では冷静ではいられないんよ。

このギャップがすごい

マリオン(演:エマ・コリン)

幼いころからトムに恋する真面目な教師。
念願叶ってトムと結婚し、順風満帆な生活が待っている。と思っていた。
しかしある日トムとパトリックの不穏な行動を目撃してしまい…

マリオンがめちゃくちゃいい子なんです太陽なの。
真面目で真っ直ぐで素直で結婚相手にしたい人ダントツNo.1。
この物語はそんなマリオン目線で語られます。

だからこそ余計につらい

デートはいつも3人

https://www.douban.com/

憧れのトムからデートに誘われるようになったマリオン。
でもそこにはなぜかいつもトムの友人のパトリックがいます。

オペラを見る時も3人、ピクニックに行くときも3人、飲み屋でお酒を飲むときも3人。
博識でユーモアに富んだパトリックとはマリオンと共通点も多く気も合うんですが、やっぱりトムと二人で過ごしたくて、マリオンは内心でイイイイイ!!ってなってしまいます。

なかなかトムと二人きりになれなくて、かつトムは本当に自分のことを女として見てくれているのか不安になってしまって、ずっとやきもきしちゃうんです。
でもパトリックはトムの大切な友人だし、無下にはできない。

そんな中、初めてふたりだけのデートに誘われます。
パトリック抜きでふたりっきりでお酒を飲むふたり。
でもトムはどこか楽しそうじゃなくて、全然会話が盛り上がりません。
せっかくのデートなのに!と怒るマリオンにトムはキスをして「連れていきたいところがある」と言います。

その行き先がなんと…パトリックの家(トムおまえマジか)
出張に出ていて留守にしているパトリックの部屋で、トムはマリオンにプロポーズをします(待て待ていろいろと待て)
突然のことでマリオンは驚きますが嬉しさが勝って快諾します。

そんなパトリックの部屋には男性のスケッチがいくつか飾られているんですね。

そのスケッチは全部
トムを描いたものでした

スケッチモデルになった夜

https://www.douban.com/

物語は現在と過去が交差しながら進みます。
トムがマリオンにプロポーズをしたシーンから、時代は少し前に遡ります。

事故を目撃したことで警察に通報したパトリックはそこで警官のトムと出会います。
軽い立ち話をしながら美術館で働いているというパトリックに対して、美術に興味があると語ったことをきっかけに、後日ふたりは引き寄せ合うように美術館で再会します。

「街の人をスケッチしているからよかったらモデルになってほしい」というパトリックの依頼でトムは後日パトリックの家を訪ねます。

よく知らない人の家に簡単に上がり込むなんて…と思ってしまいますが、パトリックの家に行く直前にひとり海辺でタバコを吸いながらぼーっと考え事をするトムがいるんです。
まるでこれから起こるであろうことを分かっていて、自分の中の葛藤と静かに闘いながら覚悟を決めるような描写です。

https://www.douban.com/

スケッチが終わり、パトリックの家でお酒を飲んですっかり酔っ払ってしまったふたり。
ほろ酔いの状態で並んでソファに座ると、ふいにトムがパトリックの首筋に指を這わせます。
驚きながらもその指に頬を擦り付けて猫のように応えるパトリック。
(このふたりの何気ない仕草をどうかラストシーンまで覚えておいて欲しいの)
その仕草にトムはふと我に返り、

トム「すまない」
パト「謝らないで」
トム「自分でもわからない…俺は…」
パト「…いいから」
トムの目を見ながらゆっくり彼のボタンを外すパトリック。
トム「やめた方が…」
やめようとしないパトリック(よし)
パト「…いいかい?」
と言いながらゆっくりシャツの中に手を入れて…
あああああああああああああああああああああああ!!!!!

▶❚❚
思わず一時停止しましたよ

このシーン最&高にムーディでした。
最高だからこそ、その後の展開が常に辛い。

あかん…これはつらい

https://www.imdb.com

時系列が交差する物語は進めば進むほど、どんどんとドロ沼に入っていきますよ。
嫉妬渦巻く三角関係が始まってしまいます。

トム「実は結婚する」
パト「結婚するのは保身のためだろう?」
トム「それだけじゃない。好意も抱いてる」

相手の女性(マリオン)のことが好きだというトムに対してパトリックは激しい嫉妬心にかられます。
海辺を歩いていたところを、突然石垣にトムを押し付けて、荒っぽい仕草で彼のファスナーを下ろして…

トム「よせ」
パト「俺と別れる気か?」
トム「違う…わからない」
パト「(これ)やめてほしい?」
トム「いいや」
パト「ならどうする?」
スマートにふるまいながらも愛する人を絶対に手放せないパトリックと、世間体のためにしたたかに生きようともがきながらもパトリックを捨てきれないトム。

なにこれ好きです

https://www.douban.com/

目の前の人を愛しているけど、当時の社会で生きるためにはしたたかな選択も必要で、でも易々と割り切ってさよならしてしまうほどふたりの愛情は軽くないんですね。
だからこそパトリックも、トムも、後に二人の関係を知ることになるマリオンも、3人が3人ともつらいんです。

そしてその沼に視聴者も道連れにされてしまうので、ほんとシンプルにつらい。

どの人物に感情移入しても辛くて、でも誰も悪くなくて、だからまたつらい。
悪いのは3人を追い詰めてしまう閉鎖的で偏った社会なんですよね。

皆に幸せになってほしいのに、そうさせてくれない社会があって、それがもうどうにもならない時代だからこそ、やるせないんです。

だから何度も泣きそうになる

過去と現在が残酷に交差する時間軸

https://www.douban.com/

作品は現在と過去の2軸が交互に進行します。

ともに青春を過ごした若い3人の過去と、現代を生きる年老いた3人が描かれます。

ちなみに年をとったトムを演じるのは映画「司祭」でゲイ役を演じたライナス・ローチ。
そしてパトリックを演じるのは映画「アナザー・カントリー」で同じくゲイ役を演じたルパート・エヴェレット。通りで美しいわけだ…

▷ 映画「アナザー・カントリー」エリート学生たちの儚い青春
本作よりもさらに20年前の1930年代のイギリスを舞台に、ゲイであることの生き辛さを描いた作品。
国宝級の美青年たちが出ているのでぜひこちらも合わせてお勧めしたいです。

現在と過去、いったりきたりしながら物語が進むにつれて、この残酷な構成にどんどんと苦しめられていきますよ。そう私たちが。

これがもうつらくてつらくて…鬼ですわ。
ネタバレになるから多くは語らないけどさ…
とりあえず地獄を見る覚悟でこの波にもまれればいい。

同性愛は「犯罪」の50年代

https://www.imdb.com

物語は1950年代のイギリスが舞台です。
「1950年代のイギリスが舞台」と言われても当時のイギリスがどんなかんじだったのかは、あまりピンとこないですよね。

イギリス・ロンドンとアメリカのしかもモンタナを比較するのは違うかもだけど、映画「ブロークバック・マウンテン」が1960年代が舞台なんですよね、だからそれよりも10年も前。

いいですか、ブロークバックより10年も前ですよ。
これだけで「僕の巡査」が描く時代がいかに同性愛に対して閉鎖的だったか、少しだけ想像できるかと思います。

当時、イギリスの数学者アラン・チューリングが同性愛者という理由で処罰を受け、国から性欲を減退させる薬を投与され続けた挙句、最終的には青酸中毒で亡くなってしまうという悲劇もこの時代に起こってるんですね。

そんな50年代のイギリスが舞台で、かつ主人公がそんな同性愛者を取り締まる立場の警察官、その妻が子どもたちに同性愛は悪だと教育する立場の教師という…なんとも残酷な設定ですよ。

同性愛が違法とされる時代に、国家のために働くふたり。
時代背景を知るとそれだけでもう息が詰まるような苦しさがあるし、この3人の背負うものがずっしりとのしかかってきます。

ああ…つらい…

https://www.douban.com/

そして現代。
彼らが若かった頃とは違い同性同士が手を繋ぎ、公共の場でキスをしても逮捕されない時代。
年老いたトム、パトリック、マリオンの3人はそんな時代を生きています。

クライマックスは物語のラストシーン。
あの頃からそれぞれがずっと背負い続けてきた感情と、ようやく向き合う時がきました。
この3人の行動にね…もう…涙が止まりませんでした。

最後はボロボロ泣いてしまったよ…
ほんとにつらい。私つらいしか言ってない。
でもありがとう。
素敵な作品をありがとう

とにかく見て欲しい

映画「僕の巡査/My Policeman」は配信で無料視聴可能

https://www.douban.com/

映画「僕の巡査(原題:My Policeman)」は11月4日よりamazonプライムビデオで配信が始まりました。

Netflixオリジナルの「パワー・オブ・ザ・ドッグ」に続きアマプラオリジナルの本作も傑作でしたのでぜひご覧になってください。

▷ amazonプライムビデオで「僕の巡査」を見る

※30日間の無料トライアル中に解約すれば料金はかかりません

原作はベストセラー小説

https://amzn.to/3yOcxy7

本作は英米の人気小説「My Ploliceman」を原作に映像化されました。

素晴らしい……ハラハラとさせられる一方で、非常に正直な作品だ。

ニューヨーク・タイムズ

人々の人生が狭量な社会によって抑圧されていた時代を描く、忘れられない作品。

ガーディアン紙

ありがたいことに日本語訳の文庫本があるので、気になる!という方はぜひ読んでみてください。

▷ amazonで評価を見る

この記事を見た人に刺さりそうな作品

あぁああああー!
まだまだ貴女におすすめしたい作品はたくさん!
もっと書きたい!この感情をぶつけたい!

💎このブログの著者

rico(30代)

湿度高めなオトナ向けクイア作品を探すことが趣味
インディ作品や商業BL、R指定まで何でも食べる
ぜひXでお話ししましょう

💡気になる最新作まとめ

✨最近見たおすすめ作品

🏆よく読まれている人気記事

🔍キーワードから探す

BL/Yaoi R指定 ほだされ ほのぼの アメリカ イギリス コミカル サスペンス シリアス スパダリ スーツ タイ ドラマ ハートウォーミング バイオレンス ビジネス ブロマンス ミステリアス ライバル 三角関係 不倫 主従 俺様 健気 先輩後輩 切ない 同僚 同級生 執着 嫉妬 学園 学生 年の差 幼馴染 日本 映画 歴史 激推し 爽やか 犯罪 甘い 男前 美人 誘い 青春

💝個人的殿堂入り激推し作品


🔥おすすめの130作品

本ページの情報は2024年7月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。