映画「恋人はアンバー」POPでキュートで爽やかで残酷!青春映画の決定版

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな13作品はこちら)

今回は映画「恋人はアンバー（原題：Dating Amber）」を取り上げます。

まだ見たことがない方のために詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、3割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

映画「恋人はアンバー」とは

映画「恋人はアンバー（原題：Dating Amber）」は2020年にアイルランドで公開された作品です。
翌年の第29回レインボー・リール東京 ～東京国際レズビアン&ゲイ映画祭～で日本初上映され、2022年より日本全国での上映が開始されました。

1995年、同性愛が違法でなくなってから2年後のアイルランド。
同性愛者への差別や偏見が根強く残る田舎町で、自身がゲイであることを受け入れられない高校生・エディと、レズビアンであることを隠しているクラスメイトのアンバー。
家族や同級生にセクシュアリティを悟られないように平穏に卒業を迎えるため、2人は“ニセモノの恋人”を演じることに！

「恋人はアンバー」あらすじより

前評判通り、音楽もファッションもPOPでとてもチャーミングな作品でした。
映画ジャンルが青春・コメディとされているように、全編コミカルタッチでテンポよく進みます。
爽やかなトーンの作品ですが、鋭い刃物のような性質もあるんです。
アンバーとエディのふたりを取り巻く環境は決して笑い飛ばせるほどではないんですよね。

それでも強く生きていくことを決断するふたりを抱きしめたくなる感情にかられます。
たくさんの傷を作りながらそれでも手を取り合って前に進もうとするふたりの姿に心打たれました。

泣いちゃう

恋人の”フリ”をするふたり

エディ（演：フィン・オシェイ）

自身がゲイということに薄々気付きながら受け入れられない高校生。
まわりに馬鹿にされないように何とか男らしく振舞おうと努力する。
陸軍で立派に活躍する父親の期待に応えるため卒業後は入隊を決めている。
両親は仲が悪く家にいても夫婦喧嘩ばかり。
自分のセクシャリティや将来について誰にも相談できないでひとりで悩み続ける。

抱きしめてあげたい

アンバー（演：ローラ・ペティクルー）

エディのクラスメイト。
クラスでは浮いているけど実は勉強ができる秀才。
自分がレズビアンであることを自覚しながら隠している。
性に奔放なクラスメイトたちに自分の部屋をホテルとして貸してお金を稼ぐ。
いつかそのお金でこの田舎を飛び出しロンドンで自由に生きることを夢見る。

ふたりまとめて
抱きしめたい

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舞台は1995年のアイルランド。
しかも都市部から離れた超田舎町。
少しでも浮いている子がいれば容赦なくいじめのターゲットにされる閉鎖的な学校に通うふたり。
女々しくて気弱なエディと、可愛げがなく男勝りなアンバーはいじめっこたちからの格好の餌食なんですね。

彼女・彼氏をつくってこそ一人前で、キス以上の関係に進めた奴がカッコいいという学生ならではの謎のルール。ありましたよね、どこの国も一緒ですね。

学校で常に陰口を言われ続けることに疲弊していたふたりは、ある妙案を思いつきます。

いっそのこと
付き合ってるふりをしよう

自分がレズビアンだと自覚していたアンバーは、ゲイ（と見抜いている）のクラスメイトのテディと付き合うフリをすることで、卒業までの数か月間を何とかしのぐことにします。

彼女も作らないでおまえゲイなんじゃないか？とまわりからからかわれていたテディは、いじめを回避しようとそんなアンバーと手を組むことにします。

それから二人は皆の前でわざとらしく手を繋ぎ、キスをして、肩を組んで学内を歩きます。
授業中もイチャイチャして、互いの家族に紹介する徹底ぶり。

すると周りの目ががらりと変わるんですよね。
家族も恋人の存在に安心してくれるし、いじめっこたちも「やるじゃんエディ」となるんです。
皆が求めるような「普通」でいることが、いかに生きやすいかということを実感するエディは、本当の自分と向き合うことでそれらが台無しになることに気付いていきます。

いびつな関係から始まるふたりですが、この二人の間の友情がとても良いんです。
互いに自分の感情を打ち明け合い、共感し合い、認め合い、夢を語り合います。

エディ　「もっと女らしく歩けないの？」
アンバー「そっちこそもっと男らしく歩けないの？」

お互いに「らしく」生きていけないことを笑い合いながらも、ちゃんと認め合える大切な存在になり、次第に心のよりどころになっていくんです。

それぞれ恋をするふたり

恋人のふりをしながらも、同時にそれぞれ別の人に恋をしています。
アンバーはバーで出会ったレズビアンの年上の学生に思いを寄せるんです。

何度もデートを重ねるうちに、アンバーは自分の夢を追いかけることよりも彼女といることに喜びを見出していきます。

普段は気が強くて一匹狼のアンバーが唯一甘えられる年上の恋人なんです、このふたりの関係めちゃくちゃ素敵。

エディは密かに担任の先生に恋をしています。
いじめを受けているエディのことをいつも気をかけてくれる優しい先生なんですよ。

ある日、いろいろありすぎていじめっこに殴りかかってしまったエディは先生に呼び出されます。
教室で二人きりになり優しく諭されたエディは、そのまま吸い寄せられるように先生にキスをします。

この後の先生のリアクション…ぜひ本編でご覧ください。

他人なんて関係ない

偽りの関係を続けることで周りの偏見をかわしてきた二人。
上手くいっていたのもつかの間、結果的に本当の自分と偽りの自分のギャップに苦しめられてしまいます。

レズビアンであることを家族にカミングアウトし、自分らしく堂々と生きていくことを決めたアンバーに対し、エディは頑なに自分と向き合うことから逃げようとします。

ゲイであることを認めてしまうことに怯えるエディにアンバーはこう言い放ちます。

It’s not about other people, Eddie.
It’s about YOU.
他人なんて関係ない、あんたの人生よ。

アンバー

なによりも同じ苦しみと葛藤を抱えるアンバーからのこの言葉は、ずどんと重みがありました。

エディとアンバーふたりの覚悟

そしてラストシーン。
アンバーとエディはお互いに大きな決断をします。

それはその後のふたりの人生を大きく変えてしまうような、それはそれは覚悟がいること。
周りと少し違うだけでずっと苦しんできたふたりは、本当は弱くて、辛くて、苦しくて、逃げ出したくなるようなそんな不条理で苦しい環境でも、ふたりで支え合い励まし合いながら、強いふりをして耐えられたんですよね。

クラマックスで互いを強く抱きしめ合うふたりの姿に思わず涙が出ました。

映画「恋人はアンバー」は全国で順次上映

映画「恋人はアンバー」は全国の映画館で順次上映されます。

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本ページの情報は2024年7月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。