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映画「異人たち」孤独な二人を待ち受ける衝撃のラスト|解説&配信情報

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな13作品はこちら)

今回は映画「異人たち(原題:All of Us Strangers)」を取り上げます。

作品メモ

評価 :4.5/5。

評 価:4.5(4.5以上はこちら
設 定:R指定・年の差
トーン:スリラー/ファンタジー
大人度:100%
アダム:年上/孤独/脚本家
ハリー:年下/ミステリアス
※あくまでも個人の主観です

まだ見たことがない方のために詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、5割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

映画「異人たち」とは

映画「異人たち」は、2024年に日本で公開された作品です。
日本を代表する名脚本家、山田太一氏の長編小説「異人たちとの夏」を、アンドリュー・ヘイ監督が現代のロンドンを舞台に映画化。
2024年ゴールデングローブ賞では、主演のアンドリュー・スコットが最優秀主演男優賞にノミネートされたことでも話題になりました。

ロンドンで暮らすアダムは、12歳のときに交通事故で両親を亡くした40代の脚本家。それ以来、孤独な人生を歩んできた彼が、幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父と母が当時の姿のまま暮らしていた。アダムは足繁く実家に通う一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていく。

「異人たち」あらすじより

情報が解禁されてからずっと楽しみにしてました!!
アメリカ、イギリスで一足先に本作を見た方のSNSでのコメントが
・見終わった後席を立てなかった
・ここ数年で見た映画で最も衝撃的
・帰り道ずっと泣いている

っていうどれも期待値を上げてくるもので、早く見たくて公開までずっとそわそわしてました。

期待通りの良作でしたよ‼︎

衝撃のラストシーンにボロ泣きした人も多数いるようですが、私はどちらかというと、後からじわあっと効いてくる方でした(今でも思い返すと鳥肌立つ)

切ないんですよね。切ないんだけど、切ない系の切なさではないんですよね(混乱)
とにかくこの作品のことは、今後もずっと忘れないし、忘れられないほどの衝撃を受けてます。見る人によっては、かなり響くし、心えぐられてしまう作品になると思う。

孤独な男たちのラブストーリー

https://movie.douban.com/

アダム(演:アンドリュー・スコット)

テレビ脚本家。
12歳の頃両親を交通事故で亡くし、孤独に生きる独身男。
ロンドンのタワマンで独りひっそりと暮らしている。
ある日、酔っぱらった隣人のハリーに声をかけられたことをきっかけに交流が始まる。

ドラマ版「シャーロック」の悪役モリアーティでお馴染みのアンドリュー・スコット。
Netflix版「リプリー」でのサイコなお芝居も素晴らしかったです。
本作では複雑なお芝居をみごとに演じ切っていました。

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ハリー(演:ポール・メスカル)

アダムと同じタワマンに暮らす青年。
ある夜酔っぱらった勢いでアダムに声をかける。
深い悲しみをまとったミステリアスな存在。

ポール・メスカルといえば「after sun」…何度見たことか。
今回も悲しい目をしたキャラクターを好演されてました。

原作は日本の小説

そうなんですよね、日本人としてこんなに誇らしいことはないですよ。
大河ドラマや「不揃いな林檎たち」など数々の人気ドラマを手掛けた脚本家、山田太一氏の小説「異人たちの夏」を映画化した本作。

山田太一著『異人たちとの夏』の評価を見る

原作は1980年代の東京という設定を、山田氏の許可を得て、舞台を現代のロンドン、さらに主人公をゲイという設定にリメイクして映像化されました。

監督は、一夜限りの関係から始まる「WEEKEND」やゲイコミュニティを描いた「Looking」など数々のクイア作品を手掛けるアンドリュー・ヘイ氏。
監督自身も同性愛者であることから、本作の主人公のセクシャリティを変更してリメイクしています。

原作を読んでないよって方、安心してください。この作品の不思議な世界観を存分に楽しめるので、未読のまま映画を見ることを強くお勧めします。私も記憶を消して何度も見たい…
原作をすでに読まれた方、大丈夫です。
アンドリュー・ヘイ監督の強烈なアレンジが効いているので別の作品として楽しめます。違う要素と合わせて、原作を踏襲している要素を確かめながら見てみてください。

まずラブシーンが濃厚なんだ

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作品のジャンルが「ロマンチック・ファンタジー」となってることもあって、アダムとハリーのラブストーリーが作品の軸になっています。そしてそんな二人の濃厚なラブシーンに触れずにこの作品を語ることはできません。

ある日アダムは同じアパートに住む青年ハリーから、一緒に飲まないかと誘われます。
でもハリーがかなり酔っぱらっていたため、アダムは警戒して誘いを断ります。
別の日、二人は偶然エレベーターで出くわします。
アダムはハリーに「あの時はすまなかった」と謝り、彼を部屋に招きます。

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互いのことを何も知らない二人。向かい合ってソファに座り、他愛もないことを話しながら、ゆっくりと距離が縮まります。
「ねぇキスしていい?」とハリーが聞くと、アダムは照れながら「いいよ」ってなって、ぎこちないキスから始まり、ゆっくり服を脱がし合い…時折照れくさそうにするふたりがとってもよかった。
ricoの大好きな年下(ハリー)×年上(アダム)なところも相まってですね。

とてもよかった(2回目)

それから二人は会うたびに身体を重ねるんですよね、しかも毎回しっかり情熱的なんです。二人でいるときは、ほぼラブシーンと言っていいくらいの配分で物語が進んでいきます。

孤独なアダムと、孤独なハリー、この孤独×孤独が合わさることで、それぞれが失ったものを拾い集めるように、少しずつ心を満たし合っていくんですよ。
最初は警戒していたアダムも、年下のハリーの包容力に身をゆだねて、どんどん笑顔になっていくんですよね。

深い悲しみを背負った二人が生み出すケミストリーがとても良かった。

暖かいのにどこか奇妙な世界観

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先ほども触れたように原作のジャンルは、ロマンチックファンタジーとされていますが、この「ファンタジー」部分、本作ではスリラー要素が高めです。

隣人の青年とのロマンチックなラブストーリーだし、家族愛を描くハートウォーミングな作品なんですが、「あぁしあわせや」ってぬくぬく浸っていたと思ったら、要所要所に不気味なシーンがあるんですよ。

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ロンドンの高層タワマンに、なぜかアダムとハリーの二人しか住んでなかったり…
電車に乗ってたら目の前をハリーが他人のように通りすぎていったり…
目を覚ましたら幻想の世界にいて、また目を覚ましたら現実の世界にいて、どっちがどっちかわからなくなってきたり…

なんか変だな、ぞわぞわするな…って思いながらも、でも確信が持てないから、大丈夫、ラブシーンえっちだし、怖くない怖くない…って自分をごまかしながら、暗くて細い道を進んでいくような感じで…

そして迎える衝撃のラストシーン

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そうなんです、この作品はラストシーンが衝撃なんです。
しあわせの絶頂から、ラストシーンでどん底に突き落とされるんです。
これまで抱いていた違和感がようやくここにきて確信にかわるんです。

今これ書いてて鳥肌たってる

現実を受け入れて、理解しようって脳は頑張って処理するんだけど、でも辛すぎて心が全然追い付かなくて、その衝撃に耐えられずに、ひたすら震えるしかないんです。
「映画が終っても席から立ちあがれなかった」と言っていたのはこのことかと。
わかる、わかるよ、見終わった今ならよくわかるってなります。

ラストシーンの解説(※ネタバレあり)

私と同じく本作を見終わり、衝撃で震えている方に向けて、本作のラストシーンに触れたいと思います。

ラストシーンの解説はこちら

ダイナーで両親に別れを告げた後、アダムはハリーに会いたくて、初めて隣人のハリーの部屋を訪ねます。
そこには腐臭が漂い、アダムはハリーの腐乱死体を発見してしまいます。
死体のハリーは、二人が初めて出会ったあの夜と同じ服を着て、傍らにはあの夜ハリーが持っていたウィスキーの瓶が転がっているという…

部屋には、アダムに死体を見られてしまって動揺するハリーの「霊」が狼狽えていて。
「あの夜、とても怖かったんだ…」と泣くハリーを、「大丈夫だから」と宥めて、アダムは自室にハリーを連れていき、ベッドでハリーを抱きしめます。
意識がもうろうとするハリーを抱きしめながら、歌を口ずさむアダム。

I’ll protect you from the hooded claw. Keep the vampires from your door.
フードをかぶった爪から君を守る / 君のドアからヴァンパイアを遠ざける。

The Power of Love by フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド


ハリーは何らかの理由で精神を病んでいたんだと思います。
そして二人が初めて出会ったあの夜は、ハリーがお酒とドラッグをやったあと、孤独に押しつぶされそうになり、意を決してアダムの部屋を訪ねたんだと思います。
「僕のドアにはヴァンパイアがいるんだ」というハリーを、アダムは警戒して追い返してしまいます。そしてハリーはひとり、その夜に自室で自殺してしまったという…

そして次に二人が会った時は、ハリーは「酒は飲まない」といい、孤独なアダムをやさしさで包み込む理想的な存在になっていました。今思えば、アダムは両親の霊と会話をして通じ合ったように、ハリーの霊と恋愛をしていたんですね。

ハリーが幽霊だったのか、それともアダムが創り出した虚構だったのかはわかりませんが、私は後者だと思うのです。

作品の中で何度か出てくる鏡や窓に映る二人の演出は、アダム=ハリーという意図があったんじゃないかなと。弱くて壊れそうな自分を支えるために、「大丈夫だよ」と抱きしめてくれるハリーを創り出し、孤独に負けてしまいそうになる自分をなんとかして励ましていたんだと思う。
ラストシーンは、逆にハリーに対して「僕が守る」という言葉をかけていたのも、死を選んでしまいそうなくらい弱った自分に、言い聞かせていたんじゃないかな…

監督は、見る人に解釈を委ねると言っているので正解はないのかもしれないけど、いずれにしても切ねぇよ・・辛すぎるよ。。

あぁ…思い返してまた震えてる

挿入歌”Always on my mind”が良かった

学生時代、UKポップにはまってPet Shop Boysを崇拝してた頃がありました。
クリスマス、家族でクリスマスツリーのデコレーションをするシーンで、Pet Shop Boysの「Always on my mind」がかかって、胸がぎゅっとなりました。

歌詞はアダムが両親から言ってほしかった言葉であると同時に、あの日追い返したハリーに対してアダムが言いたかったことだと思って、映画を見終わったあと繰り返し聞いてぽろぽろ泣いてます。

Maybe I didn’t treat you
Quite as good as I should have
Maybe I didn’t love you
Quite as often as I could have

君の事大切にしてやれなかったもしれない
君の事、満足にいくまで愛してやれなかったかもしれない

Little things I should have said and done
I just never took the time
You were always on my mind (you were always on my mind)
You were always on my mind

僕がいうべきだった言葉や、君にしてあげたかった事
僕は時間を作ることもしなかった
君のことはいつだって考えてたのに

Maybe I didn’t hold you
All those lonely, lonely times
And I guess I never told you
I’m so happy that you’re mine

君が寂しかった夜に、十分に抱きしめてやれなかったかもしれない
多分、君がいて幸せだとも、一度も伝えなかったと思う

If I made you feel second best
Girl, I’m so sorry I was blind
You were always on my mind (you were always on my mind)
You were always on my mind

君がないがしろにされたように感じさせてしまったら
本当に申し訳なく思うよ
君のことはいつだって考えてたのに
いつだって君のことを

Tell me
Tell me that your sweet love hasn’t died
Give me
Give me one more chance to keep you satisfied, satisfied

どうか言ってよ
可愛い君が、まだ僕を愛してるって
もう一度だけ、君を幸せにするチャンスを頂戴
もう一度だけ

“Always on my mind” by Pet Shop Boys

なんていい曲

日本版映画「異人たちとの夏」と合わせてみて欲しい

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原作を映画化した日本版「異人たちとの夏」はオンデマンドで配信中です。
「異人たち」鑑賞後に見てぜひ違いを楽しんでみてください。

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映画「異人たち」は配信で視聴可能

映画「異人たち」はamazonプライムビデオ他各種動画配信サービスで視聴可能です。
数百円のレンタル料はかかりますが、全然安いと思えるほどおすすめなのでぜひ。

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