R15映画「QUEER/クイア」切なくて毒のある衝撃作｜配信で無料視聴可能

こんにちは。
実写BL・メンズロマンスが大好きなアラサー会社員のricoと申します。

数ある作品の中から大人女性にもきちんとおすすめできる良作のみをピックアップしていたら、130本を超えてしまいました。
ひたすら個人的な見どころをご紹介していくブログです。(特に激推しな13作品はこちら)

今回は映画「QUEER（クイア）」を取り上げます。

まだ見たことがない方のために詳細を省いた「見どころのみ」をかいつまんでご紹介しますが、3割ほどネタバレを含みますのでご注意ください。

映画「QUEER」とは

映画「QUEER」は、クイア映画の金字塔と言われる映画『君の名前で僕を呼んで』で知られるルカ・グァダニーノ監督が、作家ウィリアム・S・バロウズの自伝的小説を映画化した作品です。

ダニエル・クレイグの新境地となる繊細な演技、1950年代のメキシコシティの雰囲気を色濃く映し出す映像美、そして人間の欲望と孤独を描く深い心理描写が見どころ。

ダニエル・クレイグといえば「007」のジェームズ・ボンド。
誰もが認める英国のスパダリが、本作では超絶ダメ男になって美青年に振り回されまくるんですよ…えぇ…今回はそのヤバさを全力でお伝えしたい。

あらすじ：
舞台は1950年代のメキシコシティ。
アメリカ人駐在員ウィリアム・リー（ダニエル・クレイグ）は、酒と薬で日々の退屈をごまかす、満たされない生活を送っていました。
そんな時、彼はバーで若くミステリアスな元兵士、ユージーン・アラートン（ドリュー・スターキー）に出会います。
リーはユージーンに、もうどうしようもなく一目惚れ。
乾ききった心が彼を渇望し、ユージーンも気まぐれに応えるのですが、求めれば求めるほど募るのは孤独ばかり。
リーはユージーンを、人生を変えるかもしれない幻想的な南米への旅へと誘い出すのですが――。

孤独でかまってちゃんな中年男性が、美青年への衝動的な愛に突き動かされていく、生々しくも繊細なラブストーリー。

おじさんが若い子に沼ってメンヘラ化する120分

メンヘラ化がとまらない おじ

リー（演：ダニエル・クレイグ）

メキシコシティに住むアメリカ人駐在員。
退屈な日々を送り、酒と薬に溺れてしまう。
町で見かけた若く美しいユージーンに強烈に依存する、情けなくも愛おしい中年男。
その「かまってちゃんムーブ」が時に滑稽で切ない。

ダニエル・クレイグって言ったら007ですよね。
スーツをビシッと着こなして、敵をバッタバッタとなぎ倒して、美女を口説いて、「俺はボンド。ジェームズ・ボンド（ドヤ）」ってキメ顔するあの人ですよ。

それが本作では完全にぶっ壊れてます

1950年代のメキシコシティで、酒と薬でグダグダになりながら、バーで見かけた美青年に一目惚れして、もう、完全に乙女ゲーのヒロインと化してるんですよ。

好きな人がバーに来てたら「きゃ！いたっ！どうしよう！！」ってソワソワしちゃうし、その彼が他の人と話してたら帰宅後も一人でモヤモヤして、ちょっと優しくされたら「え？もしかして脈あり…？」って勘違いする一喜一憂ぶりですよ。女子か。

でもね、これが不思議と憎めないんですよ。ダメなんだけど、どこか可愛いの。

初恋こじらせた中年男子の哀愁がハンパない

美青年ユージーンの罪深さよ

ユージーン（演：ドリュー・スターキー）

このユージーン君がまた罪深い沼らせ男なんですよ。

リーおじさんの愛情に対して気まぐれにしか応えない。
時に優しくて、時に冷たくて、完全にツンデレの「デレ」が5%くらいしかないタイプ。

こういう男に限って無自覚に人を沼らせるんだよな…（遠い目）

これぞグァダニーノ監督の真骨頂

ルカ・グァダニーノ監督といえば、なんといっても『君の名前で僕を呼んで』。
避暑地で過ごす17歳の少年エリオと、父の助手として滞在する24歳の大学院生オリヴァーの夏の恋を、絵画のように美しく繊細に描いた傑作です。
私にとってもオールタイムベストに入るクィア映画の名作。

映画「君の名前で僕を呼んで」これはヤバい…エロ＆エモがつまった傑作｜配信で無料視聴可能

年の差があるふたりの男の間に化学反応が起こる瞬間を描かせたら、この監督の右に出る者はいないでしょうよ…降参ですよ。
今回は美しい青年に溺れてしまう中年男性の心の「渇き」と「依存」を、詩的でスタイリッシュな映像美で描き出しています。

例に及ばず、映像も最高に美しいんですよね。
舞台となる1950年代のメキシコシティのレトロでエキゾチックな雰囲気が、孤独なリーの精神状態を映し出す鏡のように乾いているんですよね。

前半の洗練された街並みから一転、後半では現実と幻覚が入り混じるシュールなサイケデリックな世界が描かれ、思わず「何を見せられているんだろう」状態。
終始漂う「不安定さ」がリーの精神状態を表しているんですよね。

後半から大暴走ですよ

作品が描く普遍的な切なさ

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原作は古い時代のものですが、本作が描く「好きな人から選ばれないことの悲しさ」や「理解してもらえない孤独感」は、現代を生きる私たちの心にも深く響くんですよね。

リーがユージーンに対して抱く、強烈な愛、依存、そして切ない責任感のような感情は、誰かを熱烈に好きになった経験があれば、誰もが共感するはずです。

好きな人を見かけたら急にソワソワして、普段の自分じゃないような態度をとっちゃったり、誰かと親密そうにしているところを見て、その後ずっと一人でもやもやしたり。

ましてや自分の気持ちに気付いている相手にそっけなくいなされたり、雑に扱われたりするともう、大変ですよ…ねぇ。

クィアとして生きる孤独感は計り知れなませんが、好きな人から選ばれない悲しさには強く共感しちゃいましたよ…

ユージーンの気持ちが自分から離れていくと察したリーは、奥の手を出しちゃうんですよね。

そう、お金です。

「お金を払うから、傍にいてほしい」——いわゆる愛人契約・パパ活的な関係を持ちかけるんですね。それがまた、切ないんです…

たのむよユージーン…
これ以上おじさんを惑わせないでやってよ

対照的な二人の危うい化学反応

リーを演じるダニエル・クレイグと、ユージーンを演じるドリュー・スターキーの対照的な魅力が、作品に緊張感を生み出していて、美しい火花を散らしています。

リーは感情を露わにし、アルコールや薬に依存する「どうしようもない中年男」。
対するユージーンは、一見クールで感情をあまり見せず、ミステリアスな魅力を放つ美青年です。

この「依存する側」と「気まぐれに応じる側」という関係性が、独特の化学反応を生んでいます。

濡れ場がマジでヤバい

ふたりの濡れ場は、『君の名前で僕を呼んで』よりもさらに踏み込んだ描写で話題を呼んでいますよ。

想像を超えてくる生々しいラブシーンに、「あ、ここまで描くのね」と思わず、背筋を伸ばして正座してしまうほど。
肌を重ね、しっかりめなディープなキスもがっつりしてます。

恋の矢印は常にリーからユージーンへ向いているため、普段はユージーンの方が優位。

でもベッドの上では…立場が逆転しちゃってですね…

経験豊富なリーおじさんがユージーンをリードするんですよ。
初めてのユージーンも、わからないながらリーのためにがんばるんですよね。
ユージーンを口で満足させた後、満面の笑みで両頬を優しく撫でながら、口に含んだ状態でニヤニヤしながらキスしようとするシーンとかもうさ。

「待て待てｗ」ってあせるリーおじさんが可愛いのよ。

ぼかしは入りますが、グァダニーノ監督らしい美しくも生々しい映像で、二人の間に流れる感情のやり取りが丁寧に描かれています。

毒と退廃美

作品は、グァダニーノ監督らしく時代設定への徹底したこだわりが感じられます。
1950年代のメキシコシティという舞台が、「ビート・ジェネレーション」を色濃く映し出しています。

「ビート・ジェネレーション」：
既成の価値観や物質主義に反発し、自由な放浪生活やジャズ、ドラッグ、東洋思想への傾倒を特徴とする当時の文化・文学的なムーブメントで、後のヒッピー文化やカウンターカルチャーへとつながる、時代の転換点を象徴するトレンド。

映画の美術、衣装、カメラワークの全てが、当時の退廃的でエキゾチックな雰囲気を纏っています。
薬物やアルコールの描写、現実と非現実の境目が曖昧になる演出は、当時のカルチャー特有の「毒気」と「アート性」を感じさせます。

このスタイリッシュでありながら、どこか不穏な世界観に浸れることも、本作の大きな見どころです。

美しい映像と生々しい愛の描写に、心揺さぶられること間違いなしです。

これは観るべき傑作。

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本ページの情報は2024年7月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。